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イギリスのFarm Stayは主に女性によって経営されていて、ご主人が農業で稼ぎ、副業として奥さんが起業するところが多い。イギリスの農家は土地も広大だが、家も広い。子供が自立すれば、もともとあった来客用の部屋と子供部屋の2~3部屋は少なくとも空いてしまう。子供が小さくてもB&Bを始める農家も多く、近年ではこのFarm Stayビジネスがかなりいい収入になることも手伝って、使わなくなった納屋や倉庫、はたまた使われなくなった教会までをも改装して客室としてしまうところも非常に多い。また、広い土地と恵まれた自然環境を生かしてキャンプ場としてキャンピングカーを置いてそれを宿にしたり、自炊型宿泊のセルフケータリングも人気である。最近流行りなのはティピと呼ばれるもとはアメリカのインディアンの移動式住居のテントのようなものをユニークに飾り付けし宿屋にしているところもあり、種類も多様性に富んできた。
うまく成功すれば、本業だった農業収入を上まわってしまうFarm Stayも多く、ご主人が奥さんのビジネスに投資し、介入してくるケースも少なくない。イギリスは築年数によって家の値段が下がることはめったいにない。むしろ右上がりだ。歴史を残しつつ、ところどころに手を加えて改装すればその価値が1・5倍から2倍近くに跳ね上がる。家の価値を上げ、さらに農家民宿として稼働させれば一石二鳥というわけだ。
今まで結婚してから社会へ出たことがなく、主婦として農家の嫁として働いてきた彼女たちにとって、新しいビジネスを起こすことはとても勇気のいることだった。接客業も経験がなく、集客方法からインターネットでのホームページ制作もわからない。そんな何もかもが初めての彼女たちにとって心強い助っ人が先に説明したFarm Stay UKや格付け団体の存在である。
双方とも会員制にしており、多くのFarm Stay開業者が年会費を払い登録をしている。そしてそこであらゆる研修が受けられるという仕組みである。例えばB&Bで定番のイングリッシュブレックファーストの作り方やオーダーの取り方、お客を迎い入れるところから見送るところまでの一連の流れ、マーケティング、宣伝方法からホームページ作成までB&Bを経営する上で必要なことがすべて学ぶことができる。
そして地域によってメンバー同士のミーティングもまめに開かれるので、起業者同士の意見交換や情報交換ができる場も備わっているのだ。
ここでは主に私が多くのFarm Stay B&Bを訪れた中で、大成功を収めた最も印象的な3人のFarm Stay起業家たちについて後に紹介したいと思う。
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by yukitosun | 2011-11-04 23:05

Farm Stayとは?

Farm Stayとは、その名の通りイギリスのカントリーサイドにある農家に泊まることだ。日本でいう農家民宿のことである。日本の農家民宿と違うところはイギリスでは基本的に夕食を出さず、Farm Stay B&B(Bed&Breakfastの略)といって寝床と朝食を提供するところだ。
このFarm Stay、イギリスでは非常に人気があり、若者からお年寄りまで幅広く定着している。
Farm Stay UKという1983年にイギリスでファームツーリズムを奨励する目的で設立された団体もあり、多くの情報提供をフリー冊子やインターネットなどから発信している。また、3つ星など格付けランキングを行う団体もあるので、客はその星数を基準に泊まるFarm Stayを選ぶことができる。この公平な格付けによって都市にある大型ホテルに引けをとらない、もしくはそれ以上の農家民宿が多く存在する。Farm Stay B&Bの中でももちろん当たり外れもあるのも事実なのでそこは注意したいところだが、この星付け制度があるおかげで目安をつけることができる。またそれにより客側の宿に対しての信頼感が芽生え、価値を見出す。そしてFarm Stay B&B側はより多くの星を獲得するためにマンネリ化することなくB&B業に切磋琢磨し、景観を綺麗に保つことができるという双方にとって素晴らしいシステムである。
ソールズベリー大聖堂で有名な町ソールズベリーでこんな例がある。格付けを行った当初、農家民宿だけでなく町の中心部にあるB&Bがほとんど1つ星か2つ星という宿が多く、オーナーの意識もあまり高くなかった。それがある一軒のB&Bが3つ星を取り、他のB&Bよりも高い値段で集客を呼びかけたところ、満員御礼の大成功を収めたのだった。客にとってもちょっと高い金額を払っても、質の高いところに泊まりたいというは当然の心理であろう。
すると、それを聞きつけた他のB&BやFarm Stay B&Bのオーナーの競争意識に火が付いた。その3年後、ソールズベリーにある約200のB&Bが3つ星を獲得してこの格付け団体を驚かせたのだった。そしてB&Bの質が上がったことでソールズベリーの町そのものが活性化し観光名所として長年にわたり不動の人気を誇っている。
イギリスはロンドンやその他地方都市からカントリーサイドへ週末や休暇を利用して訪れる人が国民の約8割いると言われている。その中でも農村に泊まるFarm Stayがとても人気だ。ウォーキングや小さな村でのショップめぐりが大好きなイギリス人が多いこともこのFarm Stayの普及を後押ししている。
週末を利用して、田舎を旅し、農家に泊まり、その地域にあるパブやレストランで夕食を取る。この流れこそがイギリスのカントリーサイドが廃れることなく豊かである理由でもあるのだ。

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by yukitosun | 2011-11-04 23:02 | イギリス Farm Stayのすすめ

ここのマーケットに加わってから半年、気が付いたことがあった。それは発言権が男性諸君にはないことだ。いや、ないというと語弊があるかもしれない。実際はあるのだが、その隙を与えてもらえない。もともと婦人会のメンバーで成り立っているというのもあるが、ボランティアスタッフは私を入れて全部で女性12名男性2名。これじゃぁしょうがないという気もするが、ある朝、開店前にミィーティングが開かれた時のことだった。マーケット主催のクリスマスイベントがあるのでその流れと役員を決めようというものだった。その論議に男性2人は下を向いてうつむいている。そんなのはお構いなしと言わんばかりに女性陣が勝手に10分足らずで決めてしまった。こういった光景はここのマーケットのみならず、イギリスのあらゆる場面で遭遇する。
女性が主導権を握るのだ。家庭内でもお母さんの意見が絶対という所が多い。すべての女性がそうではないと願いたいが、何度も言うようにイギリス人女性は強い。経済的にも自立しているというのも手伝ってか、凛としている。愛想笑いなどない、気分がよければ笑うし、そうでなければ笑わない。そんな女性が多いからイギリスの紳士が出来上がったのかもしれない。優しく、女性を立ててあげないと、どんなしっぺ返しが帰ってくるかもわからないからだ。
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by yukitosun | 2011-11-04 23:01 | ファーマーズマーケット


初めてマーケットに参加した時は野菜と果物しか目に入らなかったが、慣れてくるとお花やおばあさんたちの手作りケーキやクッキー、卵、キッシュなどまるでこの小さな公民館の一室で商店街が開かれているようだった。その中でも農家の奥さんが切り盛りするカフェがとても人気だった。18人くらい座れるそのスペースには買い物を終えた人たちの楽しそうな会話が盛り上がっている。中には認知症を患っている人、片足が不自由な人、車いすの人、さまざまだ。その中にひと際目立ったひとりの男性がいた。なぜか仮装をしている。彼は難聴で補聴器をつけ、左目はほとんど視力がなくいつも白髪の女性が付き添っている。私にとって彼の英語はほとんど聞き取れない、それなのに珍しがって「ハロ~!ヤングレイディ~!」とよく話しかけてきてくれる。彼は非常に陽気で、その日の気分で色んな仮装をしてくる。ある時はインディアン、ある時は三つ編みをつけた女子高生、ある時は魔法使いetc・・・ 突然、並んでいる列でハーモニカを吹き始めることもある。この男性が登場すると大真面目なシルビアおばあちゃんはちょっとムッとした顔をするが、みんなを笑いの渦へ巻きこんでくれる。
こんな風にここのファーマーズマーケットが地域のコミュニティーの場の役割をして地元住民に愛され、みんなを元気にしてくれるのだ。人生なんて楽しんだ者勝ち!と言っているようだった。 
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by yukitosun | 2011-11-04 22:59 | ファーマーズマーケット

ロンの売りに出すトマトは太陽の味がした。甘くて、ちょっとすっぱくて、エネルギーが満ち溢れている味がした。
ある日、マーケットが終わりひと段落し、ロンが家に来ないかと私を誘った。他のおばあちゃんメンバーからやめなさい、ロンは危険だからとジョークを飛ばされ、ロンは恥ずかしそうに笑った。
私は自転車でロンの車の後を追った。着いた家は平屋のコテージ。こちらではバンガローと呼ばれている。レンガ造りのかわいらしい家だった。隣のおじさんが私たちを冷やかした。どうやらロンは本当に危険な人物なのかもしれないと一瞬疑った。中に案内されると、暖炉の上や出窓に飾られた白黒の写真が目に留まった。ロンのご両親の写真、奥さんの生前の写真があり今でも奥さんを忘れずに想っていることが伝わった。子供たちやお孫さんの写真もあり、一人で暮らしているものの、家族に囲まれてまったく寂しそうではなかった。そうこうする内に、ロンがミルクたっぷりのおいしい紅茶を入れてくれた。イギリスらしいなと思った。紅茶を片手にロン自慢の庭を案内してくれた。キレイに刈られた芝に丁寧に植えられた花々、手作りだという池に泳ぐコイたちとグリーンハウス。その中には私の大好きなロンのトマトがあった。「食べていいよ」というロンに甘えて、もぎ取り食べてみた。うまい!やっぱり彼の作るトマトは他と違う。愛情がこもっているなと食べた瞬間にわかる。裏庭にはかわいらしい物置小屋と結構な広さのあるジャガイモ畑が広がっていた。ここでは主食である一年分のジャガイモを育てているという。87才のロンは近所の人や子供たち、孫たちに助けなしではこんなに続けられないと言っていた。まわりの助けがあるからこそ、自分もボランティアという社会貢献ができるとうれしそうに語るその姿は愛に満ち溢れているようだった。87歳にして、医者にもかからず薬すら一つも飲まずに元気でいられるのには、ジョークばかり言って笑い転げるロンの性格とまわりに愛を与え続け、今あるものに対しての感謝の気持ちをもつその姿勢に秘訣があるのだと私は確信した。
庭を歩いていると、何とも風格のあるジョウロを見つけた。聞いてみると、このジョウロはロンのおじいさんの代から引き継がれているものらしい。新しく買ったプラスチックのジョウロはすぐに壊れるけど、このアンティークなジョウロは一度も壊れたことがないというから驚きだ。持ってみるとさらにその歴史の重さとおじいさんの代から大切に使われてきた物に対する愛情が伝わってきた。
マーケットには他にも参加しているおじいさんやおばあさんも自分たちの庭で育てている野菜をおすそ分けの気持ちで出品しているという。その中で興味深かったのが、Allotment Gardenアロットメントガーデンの存在だった。日本でも今注目を集めているいわゆる貸農園のことだが、市民農園とも呼ばれている。
アロットメントガーデンは18世紀末のイギリスで、産業革命まっただ中だった当時、エンクロージャー(囲い込み政策)が行われ、多くの農民が共有地の権利を失っていた。そこへこの対策案とて農地の一定区画を割り当て貸し出す政策がとられた。もともとは農作物の自給生産向上を目的として政策だったが、第一次、第二次世界大戦での食糧不足を解消するために、数が増え公有地化され現代の市民農園アロットメントガーデンへと発展していったとされている。
イギリスではこのアロットメントガーデンがとても盛んで、もう何年も先まで新規貸し出しはできないというから驚きだ。
アパートやマンションなどに住んでいるイギリス人にとってこのアロットメントガーデンはなくてはならない存在のようだ。
ロンの昔話、マーケットで働くお年寄りたちのゴシップなどを聞き、危険なロンから無事脱出した私は一人さまざまな思いを胸に自転車をこいで家路に着いた。


2011年8月、ロンと再会することができた。その日は、天気のいい水曜日だった。ロンのバンガローに遊びにいくと友人が2人遊びに来ていた。一人はオードリー、隣町に住んでいて毎週水曜日にロンが車で迎えに行き、彼女とおしゃべりしにこの家に来る。そしてもう一人はジム。彼はイギリス人だが約50年前にイギリスから船でオーストラリアに渡ったという。現在もオーストラリアに住み、子供たち、孫、ひ孫に囲まれて幸せに暮らしているそうだ。ジムの奥さんとオードリーはロンの奥さんと親友で、ロンの奥さんが亡くなった時は夫婦でロンを支えた。そして現在は軽度ではあるが認知症を患っているオードリーを支え、ジムは毎年のようにオーストラリアから飛行機を乗り継いでロンのところへやってくる。50年以上経った今も続いている深い友情だった。ジムがオーストラリアへ移住を決め、船で旅たった日のことを語るロンとジムの姿はまるで青年のようだった。
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by yukitosun | 2011-11-04 22:57 | ファーマーズマーケット

この恐ろしいマーケットの流れはこうだ。まず入り口で係りのおばあさんから手書きの伝票ももらう。伝票といってもティッシュ箱や広告の裏紙を再利用した手作り伝票だ。そして目当ての野菜や果物を取り、テーブル脇にいる人へその伝票と共に渡し、野菜の名前と個数、値段を書いていく。テーブルをいくつかまわり、すべてショッピングが終わったら出口にいるおばあさん2人にその伝票を渡してお会計。とてもシンプルだ。しかし驚いたのが、この会計係。電卓もそろばんもない。10個20個と伝票にぎっしり書かれた金額をすべて暗算していく。優に80歳を超えている。おつりを計算するのも素早い。そして間違いが皆無に等しい。学生の頃から算数が得意だったそうで、今もこのマーケットのおかげでボケずに済むので助かっているという。
あんなにたくさんテーブルに並べられていた新鮮な野菜や果物たち。それを売っている人たちも皆地元のボランティアによるものだった。平均年齢70歳以上。皆、現役を退き、それぞれいろいろな過去を持つ人たちだった。そのほとんどがパートナーをすでに亡くした人だった。ロンもその一人で、もう17年前に最愛の奥さんを亡くしていた。皆、以前は夫婦で手伝いに来ていたがパートナーを亡くした今も続けているおじいさん、おばあさんが多かった。
なぜそんなにもこのマーケットに情熱を注ぐのだろうか。
シルビアはもう25年もこのマーケットのボスをしている。ある日、私にここのマーケットの歴史を語ってくれた。
「ここはそこら辺の他のマーケットとはワケが違うの、会社として皆プライドをもってやっているのよ」と誇らしげに彼女は切り出した。
聞くところによるとここで開かれているマーケットはWomen’s Institute と呼ばれる婦人会が元になっているらしい。2003年に米英合作で制作された映画‘カレンダーガールズ’*のモデルにもなっていて、1897年カナダのStoney Creek Farmer’s Instituteと呼ばれる農民会が始まりだった。そして1915年9月16日、初めてイギリスで発足され北ウェールズで初のミーティングが行われた。イギリスでのWomen’s Institute設立には2つの目的があり、一つは地域活性化の促進、田舎をよみがえらせること。そして二つ目は当時第一次世界大戦まっただ中だったイギリスで食糧不足を女性の力で改善していこうと励ますことだった。まさに女性たちによる復興への第一歩であった。
95周年を迎えた現在ではイギリスでナンバーワンに輝く婦人会となり、7,000の団体と208,000人の会員とで成り立っている。
*カレンダーガールズ:イギリスはヨークシャー県に住む女性が白血病の研究に寄付するため、自分たちがモデルとなってヌードのカレンダーを制作したという実話に基づいた映画である。

そしてこのマーケットに所属するシルビアおばあちゃんや他のおばあさんたちも皆、この婦人会のメンバーで、彼女たちの先輩からこの婦人会の目的を受け継いだ人たちだった。
ロンの奥さんもそうだった。17年前に亡くなって以来、ロンはこのマーケットに参加し続けている。夫婦で参加してからもう25年経つ。婦人会が主催だか、男性も参加できることはうれしいし、誇りに思うとロンは言った。毎週金曜日に公民館の他のメンバーとは別の外で一人野菜を売り続けていた。彼の陽気な人柄とたまに理解不能なユーモアセンスで地元の人たちにも大人気のおじいちゃんだ。私が加わってから二人で外で売ることになった。今では私をまるで本当の孫のように大切にしてくれる。
こんな愛に溢れた人たちと一緒に働けて幸せだと思った。
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by yukitosun | 2011-11-04 22:56 | ファーマーズマーケット

ボランティアを始める前にマーケットの状況をよく把握しておいた方がいいと言われた私はまず、客としてオープン前の列に並んでみた。並んでいる人を見てみると、杖をついたお年寄りが多く、どうみても私が一番若かった。今日買いたい野菜のリストを片手に、私はのんきにお得意の人間観察が始まった。きっとあの40代くらいのおばさんはベジタリアンだわ。あっこの人はかなりの常連ね、列を仕切っているもの。あのおばあさんの大きなバックには一体なにが入っているのだろう、昔絵本で見たかぎばあさんみたいとか心の中で妄想が膨らむ。
そんなことをしているとフクロウみたいなおばあさんが重いドアを開けた。何だかハリー・ポッターのような世界だった。
しかしさっきまで私の妄想劇に登場していたトボトボと歩くお年寄りたちの光景は一体何だったのだろう。このマーケットの現状をすっかり甘くみていた。
自分の油断に気づいた5分後、結局野菜を一つも買えないまま空っぽの籠でマーケットを後にした。杖を突いていたおばあさん、5倍速で歩けていた。それも杖なしで。車いすのおじちゃん、電動式だったのですね、速すぎて追いつけませんでした。しかもテーブルの前を陣取るとはかなりの強者です。マーケットの状況をよく見ておいた方がいいといったシルビアおばあちゃんのアドバイスの意味がその時身をもって理解した。
外に出るとロンが「ほれ見たことか」と笑って私を待っていた。
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by yukitosun | 2011-11-04 22:55 | ファーマーズマーケット

~ボスは米寿のシルビアおばあちゃん~
イギリスでは大抵どの町にもファーマーズマーケットやフードフェスティバルといった食祭市が盛んで、特にファーマーズマーケットでは地元の農家で採れた野菜や果物を定期的に野外で売り出すとても魅力的なイベントだ。
ある日、私は教会のとなりにある公民館で‘毎週金曜日 ファーマーズマーケット9時30分オープン!’という看板を見つけた。入ってみると普段見かけるイギリスのマーケットとは少し違う。まだオープン前だったこともあり、外には長蛇の列ができていた。皆、手にはエコバックを持ち、楽しそうにおしゃべりしている。公民館の外では一人のおじいさんがかっこいい帽子をかぶりオープン前の直前販売をしていた。テーブルの上には真っ赤なトマトやインゲン豆、ラディッシュやジャガイモなど所狭しと並んでいた。値段を見てみると、トマト1パック1ポンド、インゲン豆一束50ペンスと、どれも100円から200円以内でお買い得。トマトはそのおじいさんが庭で育てたもので、インゲン豆やジャガイモは他の近所の農家や園芸を趣味としている人が出品しているそうだ。ロンというそのおじいさんは気さくにいろいろと話してくれる。そしてロンとの話の中でどういうワケか来週から私もこのマーケットに参加することになってしまった。
翌週の金曜日、ロンに言われた通り朝9時に集合場所へとやってきた。しかし、肝心のロンがいない。恐る恐る公民館の中へ入り、入り口に立っていたやさしそうなおばあさんに事情を説明した。「あの~実は今週からここでボランティアすることになったユキです。はじめまして。」
そのおばあさんはきょとんとして、奥にここのマーケットを取り仕切っているらしきもう一人の強面のおばあさんを連れてきた。そしてもう一度自己紹介。
「ロンから話は聞いていると思いますが、今日からお世話になります・・・」
びっくりしたようにそのおばあさんは私をまじまじと見つめている。「何も聞いてないわよ あなた誰?」
が~ん・・・・ やられた・・・
するとそこへ口笛を吹きながらポケットに手を突っ込んで見覚えのあるおじいさんが歩いてきた。ロンだ!私を見たロンは気まずそうに近寄ってきた。どうやら話をするのを忘れていたらしい。プラス、私が本当に来るとは思わなかったようだ。
出だしから最悪な初のマーケットのお手伝い。どうなることやら先行きが不安だった。
笑顔一つ見せないおばあさん、あ~やっぱりイギリスの女性は苦手だと思った。気が強い。愛想笑いってものを知らんのかと腹立たしくも、自分のへらへらと取り繕った笑いが情けなくなる。ロンになんでちゃんと言っておいてくれなかったのよ!と怒ってもよさそうなものなのに、自分のつたない英語力とこんな銅像のように顔のしわがぴくりともしないおばあさんを前に何も言うことができなかった。
ロンが事情を説明している間、私たちのまわりには人だかりができてきた。マーケットの人たちが一体何事か、こんなド田舎の外国人があまりいない小さな町でアジア人が一人一体何をしているのかと見に来たのだ。ロンの言い訳、いや、説明が終わり「なるほど、そういうことなら」とそのおばあさんはこのマーケットのいきさつを説明しはじめた。
シルビアと名乗るこのおばあさんは何と88歳、このマーケットを仕切り初めて26年だという。そのせいか、背筋がピンとしていて、きびきびしている。そしてこの後私にとってとても大切な人となるとは、この時知るよしもない。
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by yukitosun | 2011-11-04 22:54 | ファーマーズマーケット

イギリス人の余暇の過ごし方で人気なのがウォーキングである。休日ともなれば一人でもカップルでも家族でもだいたい犬を連れて歩く。サイクリングを楽しむ人多い。
イギリスにはCommonコモンと呼ばれる広い共有地があり、これは個人の土地や農地でも他人と共有するというシェアする文化から生まれた言葉である。また、Commonには川沿いや丘、牧草地にまで歩くための道が作られている。このような散策を楽しむための公の道をイギリスではPublic Foot Pathパブリックフットパスと呼ばれ、書店で売られているウォーキング用の地図にもフットパスが赤い点線で示されたものが売っている。このフットパスは個人の農地や牧場なども悠々と歩くことができ、イギリスのカントリーサイドを満喫するには欠かせないものとなっている。
このパブリックフットパスを歩いていて、最近気になることが非常に若いカップルや家族連れが多いことだ。おそらく10代後半から20代前半と思われるカップルがデートコースにこの農場歩きを選んでいるようだ。今、日本でも山ガールとか森ガールと呼ばれるファッショナブルな自然派女性たちが流行っているが、イギリスでもカラフルなデザインのウォーキングウェアを身にまとい、もしくはキャミソールに短パンというカジュアルな服装で歩いている人たちも多い。仲良く手をつなぎ、のんびりと自然の中を歩いていく。好きなところで羊たちを前にピクニックバスケットを広げ、ランチを取るその姿は本当に心が和み、穏やかな気分にさせてくれる。
そして乗馬を楽しむ人たち、犬の散歩を楽しむ人たちと目的はそれぞれでも、とても礼儀正しい。狭い道での譲り合い、特にレディーファーストの国ならではの男性が必ず端によけてくれるのですっかり女王様気取りだ。農場には羊や牛、馬が逃げ出さないように大きな木や鉄で作られたゲートや小さな仕掛けが施されたゲートがいくつも点在する。そのゲートもずいぶん遠くをまだ歩いているのに、わざわざ男性が開けて待っていてくれる。あいさつも皆よくする。声に出さなくとも笑顔で目を合わせて会釈する。喧騒な東京で忘れかけていた人間らしいやりとりがここにはあった。
また、最近では農家で挙げる結婚式も人気で、ウエディングパーティーをアレンジしてくれる農家もある。手作りのケーキや飾り付けでアットホームな雰囲気作りが人気だ。
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by yukitosun | 2011-11-04 22:53 | イギリスは田舎が面白い

イギリスのロンドンはもとより、あらゆる町や小さな村ででさえよく目にする‘Organic Café’や’フェアトレード‘という看板。環境問題や社会問題に意識の高いイギリスではオーガニックという言葉が非常に定着している。どのスーパーへ行ってもそれが簡単に手に入る。食品だけでなく、文房具、シャンプーや歯磨き粉、生理用品まで日用雑貨も非常に豊富で、値段も手ごろだ。
そしてイギリスのカントリーサイドには個人経営のFarmカフェが多くある。Farmに限らずとも、昔農家で使われていた納屋などを改造して作られたカフェや街中でこじんまりと展開しているカフェも多い。ホテルの朝食よりは新鮮でほとんどが家庭菜園で採れた野菜や卵を使い、お肉もローカルなものを使っているので安心だし、おいしい。もし、街中のホテルに泊まっていたならぜひLocal Produce、Organicと書かれたカフェに入っておいしいコーヒーと朝食を堪能してみたいものだ。


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by yukitosun | 2011-11-04 22:51 | イギリスは田舎が面白い