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ローラ・アシュレイは世界的に有名なイギリス発祥のブランドで約60周年経った今でも変わらない人気である。オリジナルテキスタイルで英国のライフ・スタイルを総合的に提案するブランドでトレンドと上品さが融合したレディース・ウェアからインテリア用品まで幅広く展開されている。そのフェミニンな感性と独特なプリント使い、そして伝統と気品に魅したデザインテイストはイギリスのみならず日本でも根強い人気である。
このローラ・アシュレイの大ファンであるジュリエット、車で約40分ほど行ったヘレフォードという街にあるローラ・アシュレイ店の常連さんでもある。ある12月の寒空の下、ジュリエットと私はカーテン生地と壁紙を買いにお店を訪れた。母屋にあるリビングルームの改装のためだ。以前は全体的にベージュやゴールドを基調にした落ち着いたデザインだったが、今回はラズベリー色のかわいらしい雰囲気をベースにクリスマスに向けてじゅうたんの交換、梁や柱の塗り替えと忙しい一日がスタートした。
「さぁ!カーテンを作るわよ!」と張り切って暖炉に火を灯し、ジュリエットのお母さんの代から受け継がれた古~いミシンが登場。「これがいちばん使いやすいのよ。余計なシステムはいらないの。糸を通して、縫えればいいの」。見てみるとミシン台も木でできている。「壊れたら修理はどうしているの?」と聞く私に「隣町に住んでいる幼馴じみが仕立て屋さんをやっているから彼女に頼むの。修理に時間がかかるときは彼女のミシンを借りるのよ。」と言った。16世紀に建てられた母屋のダイニングルームに大きなテーブルを出し、生地を広げる。そこで人の手が足りない。「クラ~イブ!」ひと呼びすればどこからともなくダンナのクライブが現れ、「ちょっとそこ持ってて」とカーテンつくりを手伝わされる。クライブも毎年のことなのか手慣れた手つきで生地の端を持ち、ちょっと恥ずかしそうに照れ笑いをする。
母屋の子供たちの部屋や自分たちの寝室、そして客室とすべての窓に使うカーテンをほぼ彼女一人で手作りする。生地はもちろんローラ・アシュレイが多い。5部屋もある客室の世話と家族の食事の準備など一体その時間がどこにあるのかと思えば、その時間の使い方にも脱帽でしてしまう。イースター休暇の始まる4月の春先から夏の終わりの9月の繁忙期を除き、10月から3月までの冬季、つまり客足の少ない時期にこういった家の中でできる仕事を家族でさっさと終わらしてしまう。東京にいたころは時間に追われて、週末がくればぐったり家で化石のようになっていた私はジュリエットの効率的な時間の使い方に驚いた。職業柄もあるだろうが、繁忙期には1日たりとも休みなどない。毎日多いときは満室続きで9人宿泊、1人でもお客さんがいれば家が宿屋に変わりサービスを徹底する。家の中を走り回り、朝の7時から夜の12時まで動き通しだ。そんな忙しい夏があるからこそ、こうした暖炉のぬくもりが優しく感じる冬は自然に逆らわず、ゆっくりとワインを飲みながら好きなことをし、来年の夏のために準備を怠らない。なぜここまでして手作りにこだわるのだろう。ジュリエットは私にこう話した。「農家に生まれて、別の農家に嫁いで本当に大変な毎日だった。自分の洋服だって子供たちの服だってなんでも私が作っていたのよ。カーテンだってお店で好みのデザインを伝えてオーダーすれば簡単だけど、そんな余裕は昔からなかったのよ。農家に嫁ぐことはずっと母から反対されていたの。天候に左右されるし、いつ羊毛の値段が落ちるかもわからない。来年ダンナの収入がどうなるかもわからない。だから私は銀行で働いていたのよ。日本も同じだと思うけど、イギリスの農家もとっても大変なの。なるべく贅沢はせず、自分でできることは自分でする。それにせっかく冬には時間があるんだから、こういうのを娘と一緒に作って部屋を飾っていくのは本当に楽しいし愛着がわくのよ。こういうことが好きだから続けられるのかもね。」
そうこうしている内にカタカタと忙しく動いていたミシンの音が止んだ。いつの間にか日も暮れて黒猫のプリングルがそろそろご飯の時間だよと知らせにくる。「できたわよ!」ローラ・アシュレイで調達したラズベリー色のストライプ柄のカーテンが見事に出来上がっていた。クライブが一日かけて張り替えたふかふかのクリーム色の絨毯に新しくオーガニックペンキで塗り直した梁や柱の黒が映える。壁紙もラズベリー色の大きな花柄で張り替えられ今まで使っていなかった暖炉に火が灯った。「さぁユキ、端を持ってて。取り付けるから」と梯子に上りレールに取り付けていく。この部屋のすべてが手作りで、何とも言えぬ愛着が湧く。クリスマスまであと10日。これからイギリスのクリスマスが始まる。飾り付けが楽しみだ。
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by yukitosun | 2010-12-15 13:50