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~子供の自立、そして愛~

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イギリスの子育ては日本とはちょっと違う。18歳を過ぎたら一人前の大人としてみなされるため、大学への学費などもアルバイトをして貯めるかローンを組んで卒業後社会人になってから支払うパターンがほとんどだ。
幼少期も子供としてではなく一人の人間として扱われる。生まれたときから子供と両親は同じ部屋には寝ない。これには賛否両論あるが、子供を育てる上で将来社会へ出たときに恥ずかしくないように、特にマナーの面でのしつけが厳しい。
ある友人の家へ遊びに行ったとき、彼女には2歳になる女の子がいるのだがランチをしていると、その子がくちゃくちゃと口を開けたまま噛みだした。すると母親である友人は「やめて!そんなあなたの口の中に入っているものなんて見たくもない!」とそっぽを向いてしまった。これには私も驚いたが、欧米ではこれは食事の席でとても行儀の悪いこととされている。2歳児だろうが、容赦はない。
そして必ず何かお願いごと、頼みごとをするときは「プリーズ(お願いします)」と語尾につけるように口うるさく言われる。日本のように「ママあれ取って~」なんて言おうものなら無視されるか「そのあとになんて言うんだっけ?」と促される。断る時も「ノー・サンキュー」とありがとうを付け加える。
ジュリエットの双子の娘と息子も例外ではなかった。私が初めて出会ったときは二人は22歳だったが、本当にしっかりしていて、自分の道をしっかり持っていた。特に娘のハンナは結婚を前提に付き合っている彼に付き合った当初0歳の女の子がいた。イギリスでは同棲生活は珍しくないので、当然一緒に暮らしていた。大学生の時だった。学業と、実の子ではない子の世話、家事、そして実家の隣のオーガニックのペンキ会社での3人の女の子のベビーシッター。そこに来るには片道2時間かかる。真夜中12時過ぎに帰っていくこともしばしばだった。そして大学に行き、課題を提出し、帰ってくれば赤ちゃんの面倒。はたから見てもとても甲斐甲斐しく気丈にこなしていた。オフの日には乳がん早期発見と治療の促進のための運動のピンクリボンのチャリティーマラソンに参加したり、そのためのトレーニングをしたり、ととにかく母親に似てアクティブだ。
ジュリエットは当時、その子供を引き取ることは大反対で、彼と住むことにも反対していた。しかし娘の意志を尊重し、彼女の人生は彼女が決めること、そのかわり泣き言をいわず、一人の子を面倒みる責任を教えた。そして最後にハンナにこう伝えた。「ハンナ、あなたは一度この家を出たけど、ここはあなたの場所‘Home’にかわりはないの。そしてあなたの母親は世界中で私だけ。どうしてもつらくなったら帰ってらっしゃい。」と。ハンナにとっては口うるさいお母さんでも、いつでも自分のために見守って応援してくれて、人生の先輩として道を示してくれるそんなジュリエットが大好きだと私にいつか語ってくれた。遠くにいても例え自分が過ちを犯しても、ありのままのハンナを愛してくれるお母さんがいるからこそ頑張れるし、負けるもんかと自分の背中を押せる。そしていつでも帰れる家があるからこそ、思う存分自分の夢に向かって生きていけるのだろう。
by yukitosun | 2011-11-11 14:15